うさぎの去勢手術は、オスのうさぎの睾丸を摘出する手術のことです。
以前、メスのうさぎの場合は、病気予防のためにできれば避妊手術はしたほうがいいという記事を書きました。
では、オスの去勢手術はどうでしょうか?
このページでは、オスのうさぎさんを飼っている方向けに、
- 去勢手術は必要なのか?
- 危険じゃないのか?
- 費用はいくらかかるのか?
- 何歳頃やればいいのか?
といった点を解説しています。
うさぎの去勢手術を検討している方は参考にしてみてください。
うさぎの去勢手術で期待できる効果
去勢手術をする目的は、主に以下の4つです。
- 生殖器疾患の予防
- 繁殖の防止
- 攻撃性の抑制
- スプレー(マーキング)の抑制
①生殖器疾患の予防
メスの子宮系の病気に比べると発症するリスクは低いですが、オスのうさぎは精巣炎や精巣腫瘍、前立腺肥大といった病気になることがあります。
5歳以上の高齢ではそのリスクが更に上がります。
去勢手術をすることでこうした病気を予防することができます。
ただ、オスの去勢手術で摘出する睾丸は、メスの避妊手術で摘出する子宮と違って体の外にあるので、避妊手術に比べれば簡単で体への負担も大きくありません。
発症してからでも手術が可能なことが多いので、獣医さんも積極的にはすすめてこないことが多いです。
②繁殖の防止
うさぎは自然界では肉食の動物に食べられる弱い動物なので、高い繁殖力を持っています。
このため、オスとメスを一緒に飼っているとすぐに子どもを産んで、どんどん増えてしまいます。
多頭飼いで繁殖を望まないのであれば去勢・避妊手術が必要です。
メスうさぎのほうが病気のリスクが高いので、メスの避妊手術をすることが多いですが、メスと一緒にいるとオスうさぎも発情の興奮で、余計なストレスがかかり、うさぎに良くない場合もあります。
うさぎに様子を見て、必要があればオスの去勢手術も行うようにしましょう。
③攻撃性の抑制
発情期のうさぎは、精神的に不安定になり、神経質になったり攻撃的になったりします。
多頭飼いの場合は、うさぎ同士で縄張り争いでケンカをしてケガをしてしまうことも。
飼い主さんとのコミュニケーションも難しく、飛び掛かってきたり、噛みついてきたりすることもあります。
ただ、それ以上にうさぎ自身のストレスにもなっています。
去勢手術をすることでホルモンバランスの乱れや精神的に不安定になることを防ぎ、攻撃性を抑制することができます。
④スプレー(マーキング)の抑制
おしっこを飛ばす「スプレー」は、特にオスうさぎが行う縄張り主張する行動です。
去勢することでこうしたマーキング行動もほとんどなくなります。
うさぎの去勢手術のリスク
全身麻酔で死んでしまうリスク
去勢手術を行うにあたって一番気になるのは「手術は危険じゃないのか」ということですよね。
もちろん、全身麻酔中に亡くなってしまうリスクというのはあります。
よく「うさぎの麻酔は犬や猫より危険だ」と言われるのは、「麻酔の管理」が犬・猫よりも難しいからです。
麻酔は深すぎても浅すぎてもいけないので、人間の場合は麻酔医が様子を見ながら調整を行っています。
動物の場合は、「気管チューブ」という管を肺に直接挿入して麻酔と酸素を送り込みやすいようにしています。
うさぎの場合だと、この気管チューブを使用するのが難しいため、犬や猫に比べて麻酔管理が難しくなっているんです。
2008年の英国で行われた調査では、うさぎの術後1週間以内の死亡率は0.73%と報告されています(同調査で犬は0.05%)。
とはいえ、年々うさぎの麻酔技術も上がってきているので、安全性はこのときより上がっています。
若いうちの手術なら更に麻酔による死亡リスクは減らせるので、去勢手術をするなら若いうちに行ったほうがいいでしょう。
うさぎの手術を多く行っている獣医さんを探してお願いするのが一番です。
不安があれば獣医さんとよく相談してみましょう。
手術後のデメリット
去勢手術をすることで肥満になりやすくなるというデメリットがあります。
手術後は、繁殖に対するストレスや関心がなくなり、基礎代謝が下がることで体重が増えやすくなります。
肥満は色々な病気の原因にもなるので、食事の管理が必要になります。
うさぎの去勢手術の流れ
手術自体は、メスの避妊手術に比べれば簡単です。
当日または事前に検査を行います。
まずは麻酔をかけて心電図などをとりつけます。
周辺の毛を刈って、切開箇所を消毒します。
30分~1時間程度の手術で精巣を切除します。
切開箇所を縫合します。獣医さんによっては抜糸のいらない方法で縫合ます。
うさぎの去勢手術は何歳頃やればいいのか
生後6か月以降12か月後が理想です。
メスの場合は12か月を過ぎると負担が大きくなるのですが、オスの場合はそれほど変わりません。
5歳以降は精巣腫瘍などのリスクも増えますが、メスの子宮がんなどに比べれば、リスクは低いため、病気になってから手術する人も多いです。
ただし、5歳以降の手術はうさぎの体への負担も大きいため、よく考えてできれば早いうちに手術したほうがいいでしょう。
うさぎの去勢手術の費用
手術前の検査の費用も含めて、大体15,000円~30,000円くらいです。
うさぎの去勢手術後に気を付けること
手術後はほとんどの子の食欲が落ちますが、2、3日すると元に戻ります。
最近は自然に溶けていく糸で縫合するため、カラーも抜糸も不要なことが多いのですが、化膿してしまうこともあるので、うさぎが傷口をしきりに気にしているようであれば注意してあげてください。
うさぎは手術といういつもとは全然違う異常事態に、とても大きなストレスを感じています。
普段の様子との違いを見抜けるのは飼い主さんだけなので、いつもと違っておかしなところがないか、注意深く見守ってください。
少しでもおかしなところがあれば獣医さんに相談してみましょう。
うさぎの去勢手術まとめ
- 生殖器疾患の予防
- 繁殖の防止
- 攻撃性の抑制
- スプレー(マーキング)の抑制
- 全身麻酔のリスク
- 肥満になりやすくなる
- 交配できなくなる
オスの去勢手術はメスの避妊手術に比べると、病気リスクが低いため一概にやったほうがいいとは言えません。
獣医さんも積極的にすすめてきません。
ですが、発情期の行動がストレスになるオスうさぎが多いのも事実。
大切なうさぎさんのために去勢したほうがいいのか、しないほうがいいのか、よく考えて、もし手術するのであれば若いうちにするようにしましょう。
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