「斜頸(しゃけい)」は首が傾いてしまう症状のことで、病名ではありません。
うさぎの年齢に関係なく突然発症する病気ですが、抵抗力の落ちた高齢うさぎの場合は特に気を付けたほうがいい病気と言えます。
私のうさぎも亡くなる数週間前に斜頸と思しき症状がみられたので獣医さんに診てもらいました。
幸い初期で気付いてすぐに治療したため、症状はすぐに改善されました。
斜頸は早期発見して治療できれば完治することもできる病気です。
どんな症状が出るのか、どうすれば早期発見できるのかなどについてまとめました。
うさぎの斜頸の初期症状と進行
初期症状としては、かわいく首をかしげているようなポーズのようでもあります。
最初は軽い首の傾きですが、少しずつ傾きが大きくなり、まっすぐ歩こうとしてもまっすぐ歩けなくなります。
さらにひどくなると瞳が左右に振れる「眼振」を起こし、バタンと倒れて同じところをくるくる回りだす「ローリング」という症状が起こります。
うさぎ自身も異常な状態に驚いてパニックを起こします。
斜頸が進行すると、平衡感覚がなくなって自分で姿勢を保てなくなり、食べ物を食べることも難しくなってしまって、寝たきりになってしまうこともあります。
原因がパスツレラ菌の場合には、発症する前にくしゃみや鼻水などのスナッフル症状が起こることもあります。
うさぎの斜頸の原因
斜頸の原因は様々で、
- 寄生虫の小脳寄生
- 中耳・内耳の細菌感染
- 脳卒中などの脳血管障害
- 脳腫瘍による中枢神経の障害
- 頭、首、耳の腫瘍
- 頭、首、耳の外傷
- 首の痙攣
- 金属中毒
などが挙げられますが、主な原因は、
- エンセファリトゾーンという寄生虫の感染による小脳の炎症
- パスツレラ菌などの細菌感染による内耳炎や外耳炎
の2つです。
小型種のうさぎではエンセファリトゾーン症が、中型種のうさぎではパスツレラ菌によ内耳炎などが多いとされています。
また、細菌感染による内耳炎等が起こっている場合は、首の傾いている側に内耳炎等が起こっています。
うさぎの斜頸の治療方法
治療に当たっては、まず原因の特定が重要です。
多くの場合、まずはレントゲンなどで外傷や腫瘍などがないか確認します。
そこで異常がなければ細菌感染かエンセファリトゾーン症かを疑います。
ですが、エンセファリトゾーン症の場合は血液検査を行っても結果が出るのに数日かかり、また、感染してすぐの場合は陽性反応が出ません。
検査結果がでるまでの間も症状が進んでしまうため、最初は
- 細菌を殺すための抗生物質
- 神経損傷を鎮めるステロイド
- エンセファリトゾーンを殺す駆虫剤
- (ビタミンB)
などが処方されます。
抗生物質と駆虫剤を同時に与えて、途中で検査結果が出たときに、それに合わせてどちらかの投薬を中止する、というやり方です。
抗生物質
細菌感染の場合は、抗生物質で斜頸の症状は改善しますが、改善してすぐ投薬をやめると再発する場合があります。
斜頸の症状が完全になくなって、更に症状がなくなった後も2週間は投薬を続けなくてはいけません。
早期発見で抗生物質を投薬すれば、完治する可能性がかなり高くなります。
ステロイド
ステロイドは、神経の炎症を抑え、神経損傷を最小限にとどめるために処方されます。
ステロイドによってパスツレラ菌を活性化することがあるので、斜頸の程度などによっては出ないこともあります。
(私も先生と相談した結果投薬しませんでした。)
駆虫薬
エンセファリトゾーンだった場合には、駆虫薬の投薬を続けますが、完全排除は難しく治療は非常に困難なため、後遺症が残ることがあります。
また、エンセファリトゾーンの駆虫薬には、骨髄抑制など血球の減少を起こす副作用があるため、投薬前と投薬後に血液検査で血球数などを調べながら投薬することも重要です。
ビタミンB
ビタミンBは薬ではなく栄養素ですが、身体のバランスが取れず、食糞ができないとビタミンB(特にB12)が摂取できなくなるので、それを補うために処方されることがあります。
ビタミンB12が不足すると神経障害が起こるため、ビタミンB12不足が斜頸に悪影響を与える可能性もあります。
斜頸の治療費は、レントゲン、血液検査、投薬などで、私の場合3万7,000円くらいでした。
うさぎの斜頸を予防する方法は?
細菌感染やエンセファリトゾーンの場合には、住環境やうさぎの身体を清潔に保つことである程度の感染予防にはなります。
ただ、清潔にしていても100%感染を防ぐことは難しいです。
特に高齢うさぎの場合は細菌に対する抵抗力が落ちています。
なので、症状が出始めたときにすぐに病院を受診できるよう、うさぎの様子におかしいところがないか注意してあげてください。
- 首、体の傾き
- 眼振
- 食欲不振
- ふらつき
- つまづきや足のひきずり
- くしゃみ、鼻水(スナッフル症状)
首や体の傾き、眼振であれば斜頸を発症している可能性がかなり高いです。
バランスが取れずふらついたり、倒れないように踏ん張っていることもあります。
パスツレラの場合は、スナッフル症状や涙目などの初期症状が見られることがあるのですが、さすがにこれだけですぐに斜頸を疑うのは難しいので、ふらつきなどの他の症状が起きていないか注意して見てあげてください。
私の個人的な見解なのですが、ビタミンB、特にB12不足も多少の影響を与えているのではないかと思っています。
ビタミンB12には神経を正常に保つ役割があるからです。
高齢で食糞に失敗するよになるとビタミンB群が不足してしまうので、ビタミンB群を補えるペレットやサプリをあげるのも予防になるのではないかと思います。
とにかく斜頸は、発症から48時間以内の初期治療が鍵を握ると言われるくらい早期発見が大事です。
ちょっとでもおかしいなと思ったらすぐに獣医さんに診せてください。
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