KZ ZST PRO X レビュー|ワイヤレス派が初めて有線IEMを使ったら、音の細かさに驚いた

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KZ ZST PRO Xは、1DD+1BAのハイブリッド構成を採用した有線イヤホン(インイヤーモニター/IEM)です。

「ZST」といえば、KZが10年近くにわたって展開してきた人気ハイブリッドシリーズ。
その名を継ぐ本機は、単なる焼き直しではなく、上位モデル譲りの新しいダイナミックドライバーを積んだ新世代のZSTとして話題になっています。
それでいて実売は4千円前後というのだから、なかなか穏やかではありません。

正直に告白すると、私は普段ワイヤレスイヤホン派です。
家でも仕事でも、音楽再生や動画視聴はだいたいワイヤレス。
有線は動画編集用に安いものを使うくらいで、耳掛け式の本格的なIEMを使うのは、実はこれが初めてでした。

そんなワイヤレスどっぷりの人間が、初めてKZ ZST PRO Xを耳に入れてみたら、音の細かさに、思わず「えっ」と声が出ました。

この記事では、KZ ZST PRO Xを実際に使って感じた音質、デザイン、装着感、そしてイヤーピース交換での伸びしろまで、良い点も気になった点も含めて正直にレビューしていきます。

 

4 / 5.0
良い点
  • 価格からは驚きの解像感と分離感。音の輪郭がくっきり
  • ボーカルがクリアで、中高音の抜けが気持ちいい
  • スケルトン筐体+銀メッキ線のメカニカルな見た目がカッコいい
  • 0.78mm 2pinのリケーブル対応で、育てる楽しさ・伸びしろが大きい
  • 映画や動画の臨場感が段違い
気になる点
  • ズンズン響く重低音が好きな人には、低音はやや控えめ
  • 付属イヤーピースが柔らかめで、フィットに少しコツがいる
  • 付属品はシンプル(価格なり)
 

PR この記事はメーカーから商品提供を受けて作成しています。とはいえ、使って感じたことは良い点も気になった点も含めて正直に書いています。

KZ ZST PRO Xを実際に使って感じた結論

KZ ZST PRO Xは、実売4千円前後という価格からは想像できないほど、解像感の高いサウンドを聴かせてくれるハイブリッドIEMでした。

いちばん驚いたのは、音の細かさです。
普段使っている1万円前後のワイヤレスイヤホンと比べても、音が明らかにクリアで、分離感がはっきりしています。Bluetoothではなく有線接続ということもあってか、音の輪郭がくっきりしていて、ボーカルや楽器の一つひとつが見えやすい。
特に声のクリアさは印象的で、中高音の抜けの良さは聴いていて気持ちがいいです。

1DD+1BAのハイブリッド構成で、低音を担当するダイナミックドライバーと、中高音を担当するBAドライバーを組み合わせたタイプ。
そのおかげか、特に中高音の輪郭がしっかり立つ印象です。

一方で、ズンズン響く重低音が好きな私としては、低音は少し物足りなく感じました。
とはいえこれはイヤーピースを替えることで印象が変わる部分でもあり、そこも含めて「育てる」楽しさがあるイヤホンです(詳しくは後述します)。

そして個人的にいちばん感動したのが、映画や動画を観たとき。
解像度が高く立体感もあるので、臨場感が普段とはまるで違います。
音楽リスニングはもちろん、映像コンテンツをよく観る人にもかなりおすすめできる一本でした。

KZ ZST PRO Xはこんな人におすすめ / おすすめしない人

おすすめな人
  • 初めての有線IEMやハイブリッド機を試してみたい人
  • クリアで解像感のある、輪郭のはっきりした音が好きな人
  • ボーカルや中高音の抜けの良さを重視する人
  • 映画・動画・ゲームなど、音の定位や臨場感を楽しみたい人
  • リケーブルやイヤーピース交換で、音を育てていく楽しさを味わいたい人
  • 数千円で「価格以上」の音を探している、コスパ重視の人
おすすめしない人
  • ズンズン響く量感たっぷりの重低音を最優先したい人
  • 刺激的な高音が苦手で、とにかく聴き疲れしない穏やかな音が欲しい人
  • ケーブルの取り回しを避けたい、ワイヤレスの手軽さを求める人
  • 派手さより、フラットで正確なモニター的サウンドを求める人

KZ ZST PRO Xの特徴とスペック

  1. 1DD+1BAのハイブリッド構成。低音を担うダイナミックドライバーと、中高音を担うBAドライバーを組み合わせたタイプ
  2. 低域には、上位シングルDDモデル譲りの「Zenith」系10mmダイナミックドライバーを搭載
  3. 中高域には、カスタム調整された30019バランスドアーマチュアを採用
  4. 10年近く続く人気ハイブリッド「ZST」シリーズの系譜を継ぐ、中身は新世代のモデル
  5. スケルトン(透明)シェルで、内部のドライバーや銀メッキ線が見えるメカニカルなデザイン
  6. 0.78mm 2pinのリケーブル対応で、ケーブル交換によるカスタマイズが可能
  7. 軽量な樹脂ハウジングで、長時間でも装着しやすい
  8. マイクあり/なし、カラーを選べるバリエーション展開
項目内容
ドライバー構成1DD+1BA ハイブリッド
ダイナミックドライバー10mm(Zenith系 超リニア)
BAドライバーカスタム30019
再生周波数帯域20Hz〜40,000Hz
インピーダンス40Ω
感度110dB/mW@1kHz
コネクタ0.78mm 2pin 着脱式
ケーブル銀メッキケーブル、120±5cm
プラグ3.5mm
ハウジング素材樹脂(スケルトン)
マイクあり/なし選択可
カラーブラック/シルバー 等
KZ ZST PRO X 同梱品
  • KZ ZST PRO X 本体
  • 着脱式ケーブル(2pin/3.5mm)
  • イヤーピース(黒・白)
  • 保証書

KZ ZST PRO X 使用レビュー

スケルトン筐体と銀メッキ線がとにかくカッコいい

KZ ZST PRO Xを手に取ってまず「おっ」と思ったのが、その見た目です。

KZ ZST PRO X 本体外側

フェイスプレートは金属製で、角のあるメカニカルなデザイン。

KZ ZST PRO X本体内側

そして装着面側は透明なスケルトンシェルになっていて、中のドライバーや銀メッキ線がはっきり見えます。

KZ ZST PRO X 3.5mmケーブル

この内部が透けて見える構造が、とにかくカッコいい。

普段ワイヤレスイヤホンばかり使っていると、こういう機械的で剥き出しなデザインは新鮮です。


安っぽさはあまりなく、透明シェル越しに1DD+1BAのドライバーや配線が見えるので、「ハイブリッドイヤホンってこういう構造なんだ」というのが視覚的にも楽しめます。

KZ ZST PRO X イヤホン本体側面

ガジェット好きとしては、この見た目だけでちょっとテンションが上がりました。

初めてのIEM。耳掛け形状とリケーブルに感心した

冒頭でも触れたとおり、私はこういう耳掛け式の本格的なIEMを使うのが初めてでした。

KZ ZST PRO X の耳掛け形状

ケーブルを耳の上から掛けて装着するスタイル(いわゆるshure掛け)も、最初は「おっと、こうやってつけるのか」と少し戸惑いましたが、慣れると耳にしっかり収まって安定します。
ケーブルが顔まわりでブラブラしないので、動いてもズレにくいのは有線ならではだなと感じました。

そして知ってはいましたが、実際に使ってみて地味に感心したのが、イヤホン側のケーブルを自分で取り外して交換できること。

KZ ZST PRO X 0.78mm 2pinコネクタ

本機は0.78mmの2pinという規格のコネクタを採用していて、ケーブルを別のものにリケーブルできます。
ワイヤレスしか使ってこなかった身からすると、「イヤホンって自分でパーツを交換して育てられるのか」というのは新鮮な驚きでした。
この楽しさについては、後ほど詳しく書きます。

付属イヤーピースは柔らかめ。装着感は軽快

本体はプラスチック(樹脂)製で軽く、装着感は軽快です。
耳への収まりも良く、長時間つけていても負担になりにくいと感じました。

KZ ZST PRO X イヤーピース

付属のイヤーピースは、かなり柔らかめの素材。
耳穴の形を選ばずフィットしてくれそうな感触で、装着感そのものは悪くありません。

ただ、この柔らかさゆえか、少し音が抜けている感覚もありました。
密閉感が弱いぶん、低音がやや逃げているような印象です(このあたりはイヤーピースを替えることで改善できたので、後述します)。
装着感の良さと密閉のバランスは、イヤーピース次第で調整できる部分だと思います。

ワイヤレスとは別物。音の輪郭がとにかくシャープ

そして肝心の音です。
結論から言うと、普段のワイヤレスイヤホンとは別物でした。

普段私が使っているのは1万円前後のワイヤレスイヤホンなのですが、それと比べて、KZ ZST PRO Xは音が非常にクリアで、解像感・分離感が明らかに高いです。
Bluetooth接続ではなく有線接続ということもあってか、音の輪郭がくっきりしていて、音の線が細かい。
ボーカルや楽器の一つひとつの輪郭が見えやすく、「あ、こんな音も鳴ってたんだ」という発見がありました。

ワイヤレスの音が悪いというわけではないのですが、有線ならではの情報量の多さ、輪郭のシャープさは、聴き比べるとはっきり分かるレベルです。
初IEMでこの違いを体感してしまうと、なるほど有線に沼る人がいるのも分かる気がします。

ボーカルがクリア。中高音の抜けが気持ちいい

KZ ZST PRO Xの音で特に印象的だったのが、ボーカルのクリアさです。

KZ ZST PRO X スピーカー部分

本機は1DD+1BAのハイブリッド型で、低音をダイナミックドライバー、中高音をBAドライバーが担当しています。
このBAドライバーのおかげか、特に中高音の輪郭がはっきり立つ印象で、声がとにかくクリア。
ボーカルの息づかいや、楽器の細かなニュアンスまで見通しよく聴こえてきます。

中高音の抜けの良さも気持ちよく、聴いていて楽しいサウンドです。

ひとつだけ補足すると、この中高音の主張はKZらしさでもあり、人によっては「解像度が高い」というより「シャープで少し刺激的」と感じる可能性もあります。
私はむしろこのクリアさが心地よく感じましたが、穏やかで丸い音が好みの人は、そこだけ好みが分かれるかもしれません。

重低音は少し控えめ。でもタイトでキレはある

一方で、正直に書いておきたいのが低音です。

KZ ZST PRO X イヤホン本体を斜めから

ズンズン響く重低音が好きな私としては、KZ ZST PRO Xの低音は少し控えめに感じました。
量感たっぷりに沈み込むタイプというよりは、タイトでキレのある低音、という印象です。

ただ、これは決して低音が弱いということではなく、輪郭がはっきりしていてスピード感がある鳴り方、と言った方が正確です。
中高音のクリアさを邪魔しない、すっきりした低音とも言えます。
むしろこのバランスが好き、という人も多いはず。

そして前述のとおり、この低音の物足りなさは、イヤーピースを替えることで少し印象が変わりました。
「もう少し低音が欲しい」と感じても、まだ伸びしろがあるのがこのイヤホンの面白いところです(次の項目で詳しく書きます)。

映画や動画がもう別次元。臨場感がすごい

個人的にいちばん感動したのが、映画や動画を観たときです。

これがもう、別次元でした。
音の解像度が高くて立体感もあるので、臨場感が普段とまるで違うんです。
セリフのクリアさ、効果音の粒立ち、空間の広がりと、普段ワイヤレスで観ていた同じ映像が、まるで別の作品のように感じられました。

音楽リスニング用のイヤホンという印象が強い本機ですが、映像コンテンツとの相性がここまで良いのは嬉しい誤算でした。
映画やドラマ、YouTubeをよく観る人には、この臨場感はかなり刺さると思います。

動画編集のナレーション確認にも使いやすい

もうひとつ、私ならではの使い方として気づいたのが、動画編集での使いやすさです。

私は普段、動画編集のときは安い有線イヤホンを使っているのですが、KZ ZST PRO Xに替えてみたら、ナレーションの編集がかなりやりやすくなりました。
声の解像度が高いので、細かなノイズやリップノイズ、言い間違いの箇所が拾いやすいです。

価格帯やクオリティ的には、どちらかというとガチのモニター用というより音楽鑑賞寄りの製品だと思いますが、この解像度の高さは編集作業でも十分に武器になります。
クリエイティブ用途のサブ機としても、なかなか優秀でした。

イヤーピースとリケーブルで「化ける」のが楽しい

KZ ZST PRO Xの魅力のひとつが、自分好みに音を育てていける点です。

KZ ZST PRO X 左耳

前述のとおり、付属のイヤーピースは柔らかめで装着感は良いものの、少し音が抜けて低音が逃げるように感じました。
そこで試しに、手持ちの「AZLA SednaEarfit Crystal 2」に交換してみたところ、密閉感が増して低音が少し改善。
物足りなく感じていた低域に、ぐっと芯が出てきた印象です。

イヤーピースを替えるだけでこれだけ変わるなら、ケーブルを交換(リケーブル)すれば、さらに化けるんじゃないか。
そんな期待を抱かせてくれます。
本機は0.78mm 2pinの着脱式ケーブルなので、対応するリケーブルやイヤーピースの選択肢も豊富。

ワイヤレスイヤホンだと「買ったらそれで完成」ですが、IEMは自分の手で音を調整し、育てていける。
この「伸びしろ」と「いじる楽しさ」こそ、初めてのIEMとして本機を使って気づいた、いちばんの発見でした。
まさに沼の入口です。

KZ ZST PRO Xの気になったところ

重低音が主役ではない

音のクリアさや解像感は価格以上ですが、ズンズン響く量感たっぷりの重低音を求める人には、低音はやや控えめに感じるかもしれません。

タイトでキレのある低音なので、これはこれで魅力なのですが、「とにかく低音の迫力が欲しい」という人は、イヤーピースでの調整を前提に考えるとよいと思います。
とはいえ、劇的に低音過多になるわけではないので、そこは過度に期待しすぎない方がいいかもしれません

付属イヤーピースはフィットにコツがいる

付属イヤーピースは柔らかく、装着感自体は良いのですが、そのぶん密閉感がやや弱く、人によっては音の抜けや低音の逃げを感じるかもしれません。

ベストなフィットを見つけるには少しコツがいる部分なので、手持ちのイヤーピースがある人は、いろいろ試してみることをおすすめします。

付属品はシンプル

付属品は、ケーブル・イヤーピース・説明書と、必要最低限のシンプルな構成です。

価格を考えれば十分ではありますが、このあたりは価格なり、と割り切っておくとよいでしょう。
逆に言えば、浮いたぶんをイヤーピースやリケーブルに回して、音を育てる楽しみに使うのもアリだと思います。

KZ ZST PRO X レビューまとめ

KZ ZST PRO X 使用イメージ

KZ ZST PRO Xは、実売4千円前後という価格からは信じられないほど、解像感の高いクリアなサウンドを聴かせてくれるハイブリッドIEMでした。

普段ワイヤレスイヤホン派の私にとって、初めての有線IEM体験は驚きの連続でした。
音の輪郭のシャープさ、ボーカルのクリアさ、そして映画や動画を観たときの臨場感は、普段のワイヤレスとは明らかに次元が違います。

ズンズン響く重低音が好きな人には低音は少し控えめに感じるかもしれません。
ただ、イヤーピースを替えると密閉感が増して印象が変わりましたし、リケーブルという楽しみも残されています。
物足りなさをそのまま受け入れるのではなく、自分好みに音を育てていける余地があるのは、このイヤホンならではの魅力だと思います。

スケルトン筐体のカッコよさ、価格を超えた解像感、そしてカスタマイズの奥深さ。
「初めてのちゃんとしたイヤホンが欲しい」という人にも、「手軽に高解像度な有線サウンドを楽しみたい」という人にも、自信を持っておすすめできるIEMです。

気づけば、リケーブルやイヤーピース探しが楽しくなっている自分がいました。
……これはもう、沼の入口に片足を突っ込んでしまったのかもしれません。