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Google Pixel 7がまさかの販売停止!――日本だけで勃発した「特許戦争」の舞台裏とPixelシリーズの行方

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2025年6月24日、東京地方裁判所が「Google Pixel 7 / Pixel 7 Pro の国内販売差し止め」を命じました。

「標準必須特許(SEP)」を理由に製品が店頭から消えるのは日本で初めて。

しかも訴えたのは、韓国の元スマホ大手「Pantech(パンテック)」

iPhone一強の牙城を切り崩しつつあったPixelに突き付けられた急ブレーキは、ガジェット好きにとって寝耳に水の出来事でした。
(というか、私のメイン機がPixel 7なんですが。)

この記事では

  • Pantechってどんな会社?
  • なぜ訴訟は“日本だけ”だったのか?
  • Pixel 7・8・9・10 はこれからどうなる?

という三つの疑問を中心に、判決の背景と今後のシナリオをわかりやすく紐解きます。

この記事の著者

ガジェットブロガー

バビ

プロフィール

東京在住のガジェット好き会社員ブロガー。 デザイン性の高いガジェット・スマホ・PC周辺機器を、実体験にもとづき200本以上レビューしています。 経験を活かした専門的かつ正直なレビューをお届けします。

そもそも何が起きたのか?

東京地裁がPixel 7シリーズの販売を即日ストップ

2025年6月24日、東京地方裁判所は、Googleの日本法人(グーグル合同会社)が韓国のPantech社が保有する「4G/LTE関連の標準必須特許(SEP)」を無断で実装している、と認定。

国内での「Pixel 7」シリーズ販売差し止めを命じる判決を言い渡し、Googleは日本国内でPixel 7シリーズの直販・店頭販売を続けることができなくなりました。

Pantechが2023年に提訴して以来約2年にわたる争いの末、裁判所はSEPについて

「FRAND(公正・合理的かつ非差別的)条件でのライセンス提供を回避しようとするGoogleの態度は不誠実

とまで指摘。

標準規格への実装には不可欠とされる技術であるにもかかわらず、適切なライセンス交渉に応じなかったことが販売差し止めの大きな要因となりました。

今回の判決は、日本国内で製品市場からSEP侵害を理由に製品を排除する“初の事例”とされており、業界に大きな衝撃を与えています。

さらに、Pantechは後続モデルであるPixel 8/9シリーズにも同様の差し止め仮処分を申し立てており、今後の訴訟動向次第では新モデルの日本発売にも影響が及ぶ可能性があります。

Google側は直販サイトでのPixel 7シリーズの販売をすでに終了しており、サードパーティ販路でも在庫が払底次第、事実上市場から姿を消す見込みです。

日本市場への衝撃

Statcounterによれば、2025年6月時点で日本のスマホシェアは Apple 61.6% に対し Google 6.7%。

iPhoneに次ぐ“第2勢力”に成長していただけに、販売停止のインパクトは計り知れません。

Pantech社とは何者か?

韓国発・元スマホ3位メーカー

Pantechは、1991年創業、韓国国内で一時はサムスンに次ぐシェアを誇った“SKY”ブランドの老舗メーカー。

経営再編を経て現在は「特許ライセンシング事業」が主軸で、LTE関連SEPを数多く保有しています。

「特許ビジネス」への軸足シフト

スマホ事業縮小後は、保有するLTE/5G特許を武器に各国メーカーとライセンス契約を締結。

「知財で稼ぐ会社」へと変貌しました。今回の訴訟もその延長線上にあります。

なぜ日本だけで訴えたのか?

Pixel旋風が吹く最大の海外市場

Pixelはアメリカの次に日本で特に急伸し、日本ではiPhoneに次ぐ“第2勢力”に成長しています。

このため、注目度が高い=差し止め効果が大きいとPantechが判断したのではないかとみられます。

日本の裁判所が示した“SEP差し止めOK”の追い風

東京地裁は今回、FRAND原則(公正・合理的・非差別)を盾にしたGoogleの主張を退け、「不誠実な交渉姿勢」を厳しく批判。

SEPでも差し止めを認めるという前例を作りました。

つまり、 「勝てる国でまず実績を作り、交渉カードにする」

――それがPantechの戦略と読む専門家もいます。

集中投下でコスト最小化

複数国同時提訴は費用も工数も膨大。

“日一本気勝負”で成果を上げ、他国では和解金交渉に持ち込む——これがコスパ最適だった、というわけです。

Pixel 7ユーザーへの影響

販売停止のニュースはショッキングですが、私のようにすでに持っているユーザーへの影響は限定的です。

  • サポートは継続:Googleは修理・保証・OSアップデートを従来どおり提供すると明言。
  • 在庫は市場から消滅へ:新品入手は困難になり、中古相場はプレミア化の兆し。予備機確保は早めが吉。

現在の最新はPixei 9。

2世代前の機種なのでGoogleの直販は終了しているため大きな影響はありません。

Pixel 8 / 9 シリーズはどうなる?

ここで気になるのが販売中のPixel 8、Pixel 9はどうなるのか、ということ。

Pixel 8、9にも同様の技術が使用されているため、Pantechは、Pixel 8 以降にも仮処分を申し立てる構えです。

Google側の対抗策は大きく三つ。

ここではその「三正面作戦」を整理しておきましょう。

  1. 即時控訴と同時進行の和解交渉 ―― 判決を不服として争いつつ、水面下でライセンス料を交渉。
  2. ソフトウェアでの“迂回” ―― 該当機能を無効化・切り替え、技術的侵害状態を解消するアップデートを配信。
  3. 販売継続しつつ在庫調整 ―― 判決が確定するまで時間を稼ぎ、マーケットの混乱を最小化。

どのカードを切るにせよ、Pixel 8/9 が「販売停止」になるリスクは残るため、購入検討中の人は続報を注視したいところです。

Pixel 10 以降の展望

Googleは2025 年秋にも Pixel 10 を発表すると噂されています。

今後のシナリオを三つ挙げておきましょう。

シナリオ①:和解で続投

Pantechとライセンス契約を結び、Pixelシリーズは日本で販売継続。端末価格にライセンス料が上乗せされる可能性あり。

シナリオ②:独自モデムで“特許回避”

Tensor G4 世代以降で自社設計モデムを採用し、SEPの衝突を極力避ける。技術的ハードルは高いが、長期的にメリット大。

シナリオ③:長期泥沼化で撤退も?

控訴敗訴や追加差し止めが続けば、日本市場からPixelが姿を消す…という最悪パターンもゼロではない。

業界全体への波紋

今回の判決はPixelだけの問題ではありません。

そこで、スマホ業界全体が直面しそうな二つの波紋を挙げておきます。

波紋1:他社端末への飛び火リスク

Xperia や Galaxy など、Pantech特許網に抵触するモデルがないか、各社がライセンス契約を再点検し始めています。

波紋2:日本でのSEP訴訟活性化

「日本でも差し止めが取れる」という前例は、特許ホルダーにとって強力な武器。

今後はIoT機器や車載通信モジュールにも訴訟が波及するかもしれません。

まとめ──Pixel 7ユーザーの私が感じた“揺れる足元”

正直に言うと、Pixel 7 を愛用する私自身、このニュースには心底ぎょっとしました。

朝のコーヒー片手にタイムラインを眺めていたら、「販売差し止め」の四文字が飛び込んでくる。

──まだまだ現役で使うつもりだった相棒が姿を消すかもしれない。

そんな不安と寂しさを覚えたのは、私だけではないはずです。

それでも救いはあります。

Google は「修理・保証・OS アップデートは継続する」と明言し、日常使いが直ちに脅かされるわけではありません。

けれど Pixel 8/9 にも追加の差し止め申立てが準備されているという報道は、ユーザーも販売店も穏やかではいられない材料です。

さらに秋発表と噂される Pixel 10 が “日本復活” を果たせるかどうか

──ここには、和解金、独自モデム開発、あるいは最悪の撤退という三つの道が複雑に絡み合っています。

今後チェックしたい3つの焦点
  1. Google × Pantech の交渉タイムライン
    控訴審の行方と水面下で進むライセンス交渉――「いつ、いくらで和解するのか」
  2. Pixel 8/9 の店頭動向
    追加差し止めが出るのか、それとも販売継続のまま収束するのか
  3. Pixel 10 の通信チップ戦略
    “特許回避モデム”を搭載して堂々続投? それとも別モデルで日本を切り分ける?

テクノロジーの最先端を楽しむ私たちの足元を、たった一本の特許が大きく揺さぶる――。

今回の Pixel ショックは、ガジェット愛好家なら誰もが当事者になり得ることを示しました。

「好きな端末を自由に選び、安心して長く使える」

その当たり前を守るために、メーカーと特許ホルダーが歩み寄るのか、それとも新たなテクノロジーで壁を越えるのか。

いずれにせよ、愛機 Pixel 7 を握りしめながら、私はこれからの続報を追いかけていきたいと思います。