「燃えない」モバイルバッテリー7選|発火原因と安全な選び方徹底解説

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3連休まっただ中の7月20日、JR山手線の車内でモバイルバッテリーが突然発火し、列車が全面運転見合わせ──そんな物騒なニュースが飛び込みました。

乗客5人がけがをしたとの報道もあり、「え、ウチのバッテリー大丈夫?」とヒヤッとした人も多いはず。

実はこうした事故、夏場に増えがち。

NITE(製品評価技術基盤機構)への報告だけでも、過去5年で1,800件超のリチウム電池事故が記録されています。

数字だけ聞くとギョッとしますが、原因の多くは“熱と無理をかけた使い方”や“安全設計が甘い製品”に集中。

つまり、私たちの選び方・扱い方次第でリスクはグッと下げられるんです。

そこで本記事では、モバイルバッテリーが燃える仕組みをサクッと整理しつつ、「燃えにくい電池」を搭載した最新モデルをまとめてご紹介。

難しい化学式は置いておいて、要は“中の液体がどれだけ燃えやすいか”“熱でどれだけ暴れるか”の違いを押さえればOK。

ところどころ肩の力を抜きつつも、しっかり安心して選べる知識をお届けします。

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バビ

プロフィール

東京在住のガジェット好き会社員ブロガー。 デザイン性の高いガジェット・スマホ・PC周辺機器を、実体験にもとづき200本以上レビューしています。 経験を活かした専門的かつ正直なレビューをお届けします。

なぜモバイルバッテリーは発火するの?

一言でいうと、モバイルバッテリーの中で「ショート」や「無理な充電」が起きて一気に熱くなり、可燃性の液体が燃えてしまうから。

熱暴走とは、発熱→分解→さらなる発熱…という悪循環が一気に進み、セル温度が急上昇して可燃性電解液に着火・発煙・破裂に至る現象です。

以下、発火の“なぜ”を分解して説明します。

発火の仕組み

きっかけが起こる

落とした・粗悪品だった・長時間高温に置いた・充電しすぎた…などで電池の中が壊れる。

急激に熱くなる(熱暴走)

中の液体(電解液)は燃えやすい。

温度が上がるとガスが出て、さらに温度が上がる悪循環へ。

ガスが噴き出し、発火・爆発

圧力と熱で“ボンッ”と燃えることがある。

よくある発火の「きっかけ」

  1. 内部ショート(衝撃・製造不良・劣化で+と-が触れた)
  2. 過充電/過放電(保護回路が働かない、相性の悪い充電器を使う)
  3. 高温放置(車内・布団の中・直射日光)
  4. 粗悪品・偽造品(安全機能が足りない)

これらのトラブルに共通するのは、電池の中で想定外の熱や電流が一気に発生してしまうことです。

イメージとしては、細いホースに急に大量の水を流すと破れてしまうのと同じで、電池内部の「仕切り」や「液体」が壊れたり反応しすぎたりして、熱が暴走します。

するとガスが発生して膨らみ、最悪の場合、そのガスに火がついて発火……という流れです。

ユーザーができる予防策

  1. 熱をこもらせない:充電中は布団やバッグに入れっぱなしにしない。
  2. 高温環境に置かない:車内放置NG。
  3. 0%放置を避ける:長期保管は半分くらい充電して涼しい所へ。
  4. 異常を感じたら使わない:膨らむ、臭い、熱いと感じたら即中止。
  5. 信頼できる製品を選ぶ:PSEマーク、有名ブランド、保護回路の表記を確認。

ポイントは「熱と無理をかけない・怪しい物を使わない」だけです。

充電中はモバイルバッテリーが息ができる場所に置き、真夏の車内や布団の中など“サウナ状態”にしない。

0%まで放電させて放置せず、半分くらいで涼しい所に保管。

膨らみ・異臭・異常な発熱を感じたら即ストップ。

PSEマークや信頼できるブランドを選べば、基本的な安全装置は入っています。

難しい専門知識よりも、この“当たり前のひと手間”が発火リスクをグッと下げてくれます。

「発火しにくい電池」もある

一般的なリチウムイオン電池は、中に“燃えやすい液体”が多く、熱くなると一気に暴れ出すタイプです。

だから傷ついたり、無理な充電をすると「火がつきやすい」。

一方で、下の3タイプは液体が少なかったり、材料自体が安定していて燃えにくいのが違いです。

リン酸鉄リチウム電池(LiFePO₄)

鉄骨入りの家のように構造がしっかりしていて、熱くなっても酸素をほとんど放出しません。

結果、燃え広がりにくく長寿命。ただし少し重く大きくなりがちです。

ポータブル電源、家庭用蓄電池、電動バイク/EV(BYDや一部テスラ)、業務用UPS、最近はモバイルバッテリーにも採用されています。

準固体/固体電池

中の液体がゼリー状や固まりに近いので、こぼれたり燃えたりしにくい“寒天ゼリー”のようなイメージ。

穴が開いても液漏れしづらく安全性が高い反面、まだ価格や容量は発展途上です。

まだ新しい技術なので数量は少ないけれど、安全性重視のモバイルバッテリー、医療機器、小型IoT機器、試作段階のEV用バッテリーなどで採用例が増加中。

ナトリウムイオン電池

リチウムの代わりに“食塩の仲間”ナトリウムを使うので、そもそも暴れ方が穏やか。

資源も豊富で低温にも強いですが、エネルギー密度はやや低めです。

定置型蓄電(太陽光の余剰電力用など)、街灯・通信基地局のバックアップ、最近は安全志向のモバイルバッテリーでも採用例が出始めています。

要するに、「燃えやすい液体がたくさん入っているか」「熱で材料がどれだけ暴れるか」の違い。

リチウムイオンはパワフルだけど気難しいスポーツカー、他の電池は少し重くても安全装置が多いSUV、みたいに考えるとイメージしやすいです。

実際、今あげた3つの電池は、リチウムイオン電池のモバイルバッテリーと比べると重くて大きいというデメリットがあります。

製品設計次第で前後することはありますが、一般的に以下の順番で発火しにくいと言われています。

準固体/固体 > リン酸鉄リチウム(LiFePO₄)≒ ナトリウムイオン > 一般的なリチウムイオン

ただし、あくまでも「発火しにくい」だけであって、「発火しない」というわけではありません。

油断せず、熱をこもらせない、高温になる場所に置かない、などの対策はしっかり行いましょう。

燃えにくい、発火しにくいモバイルバッテリー7選

現在販売されている、または販売が予定されているモバイルバッテリーで、燃えにくい電池を使用している製品を集めてみました。

エレコム:ナトリウムイオン電池モバイルバッテリー(DE-C55L-9000)

エレコム:ナトリウムイオン電池モバイルバッテリー(DE-C55L-9000)
電池種類ナトリウムイオン電池
容量9,000mAh
最大出力USB-C:45W、USB-A:18W 合計最大20W
サイズ幅約87mm×奥行約31mm×高さ約106mm
重さ約350g
充放電回数約5,000回
カラーブラック/ライトグレー
価格7,620円(2025.7.24時点)

エレコムの「DE-C55L-9000」は、一般的なリチウムイオンより可燃性が低いナトリウムイオン電池を世界で初めて採用したモバイルバッテリーです。

熱暴走(急激な発熱→発火)を起こしにくいのが最大の特徴です。

釘を刺す試験でも発火しにくいと公表され、内部温度を常時監視して出力を制御する「Thermal Protection」も内蔵。

-35〜50℃の広い動作温度で、真夏の車内や冬山でも使いやすく、約5,000回の充放電に耐えるタフさも魅力です。

容量は9,000mAh、USB-Cは45W出力/30W入力(PPS対応)、USB-Aも備え同時充電は合計20W。

残量LED表示や約2時間で本体満充電など日常の使い勝手も◎。

重量は約350gとやや重めですが、安全性と出力を優先した結果といえます。

さらにリチウム資源に依存しない分、環境負荷も小さいとされ、ナトリウムイオン電池はPSEの対象外なのですが、経産省確認のもと製造・販売されています。

公式サイト https://www.elecom.co.jp/pickup/contents/00113

エレコム:リン酸鉄リチウムイオンモバイルバッテリー(DE-C39-12000)

エレコム:リン酸鉄リチウムイオンモバイルバッテリー(DE-C39-12000)
電池種類リン酸鉄リチウムイオン電池
容量12,000mAh
最大出力USB-C:20W、USB-A:12W 合計最大20W
サイズ幅約78mm×奥行約17mm×高さ約159mm
重さ約310g
充放電サイクル約1,000回
カラーブラック/ライトグレー
価格4,191円(2025.7.24時点)

エレコム「DE-C39-12000」は、従来型リチウムイオンより発火が起きにくいリン酸鉄リチウムイオン電池を採用した12,000mAhモデルです。

従来品と比べて発火の危険性が低く、安全性を重視した設計が特徴です。

電気自動車にも使われるセルで、充放電サイクルは約1000回と長寿命。長く安心して使える点もメリットです。

USB Power Delivery 20W対応のUSB-CとUSB-Aを各1ポート搭載し、スマホを急速充電しながらもセル自体は安定して動作します。

「発火しないモバイルバッテリー」を目指す同社の安全志向ラインの一つで、日常使いはもちろん非常時の備えにも適した“安心優先”タイプと言えるでしょう。

公式サイト https://www.elecom.co.jp/pickup/contents/00095

HAMAKEN WORKS:SSPB(Solid State Power Bank)(HW-SSPB050)

HAMAKEN WORKS:SSPB(Solid State Power Bank)(HW-SSPB050)
電池種類準固体電池
容量5,000mAh
最大出力USB-C:22.5W
サイズ112mm×68mm×8.9mm
重さ100g±10g
充放電サイクル約2,000回
カラーブラック/ピンゴールド/ホワイト
価格6,980円(2025.7.24時点)

HAMAKEN WORKS(ハマケンワークス)のSSPB「HW-SSPB050」は、液体含量をわずか3%に抑えた準固体電解質セルを使った5,000mAhモバイルバッテリーです。

可燃性液体が少ないため、釘刺しや落下など強い衝撃でも燃えにくく、液漏れ・爆発リスクも低減。

さらに過充電/過放電/ショートを監視する多重保護回路を備え、熱暴走を起こしにくい設計です。

動作温度は-20〜80℃と広く、極寒や炎天下でも安定動作。約2,000回の充放電サイクルに耐える長寿命も魅力です。

USB-C単ポートで最大22.5W出力(入力18W)に対応し、スマホの急速充電にも十分。

メーカーは“超高性能準固体電解質採用モバイルバッテリーとして世界初”をうたう、安全性最優先のモデルと言えます。

5,000mAhと10,000mAhのモデルがあります。

エアージェイ:準固体モバイルバッテリー 10000mAh(MB-SS10000)

エアージェイ:準固体モバイルバッテリー 10000mAh(MB-SS10000)
電池種類準固体電池
容量10,000mAh
最大出力USB-C:20W、USB-A:18W 合計最大10W
サイズ約W68×D17×H112mm
重さ約200g
充放電サイクル約2,000回
カラーブラック/ホワイト
価格7,979円(2025.7.24時点)

エアージェイ「準固体モバイルバッテリー 10000mAh(MB-SS10000)」は、可燃性の液体電解質を寒天のようなゲル状にした“準固体リチウムイオン電池”を採用。

リチウムデンドライトの成長や液漏れを抑え、内部でショートが起きても燃え広がりにくい設計です。

-20〜60℃という広い動作温度に耐え、入力/出力の過電圧・過電流、短絡、過充電・過放電、IC過熱、温度NTCなど多数の保護回路も搭載。

熱暴走しづらいことを軸に、電池寿命は約2,000回(従来比約4倍)と長寿命で、防災用ストックにも向きます。

保存温度も-20〜60℃と広く、長期保管時の安心感も高め。充電面ではUSB-C(PD20W)+USB-Aの2ポートを装備し、2台同時充電も可能。

単ポート時は最大22.5W出力、複数接続時は合計10Wに制御。

標準容量10,000mAhで日常のスマホ用としても十分、“安心・長寿・耐久”をうたう一本です。

エアージェイ:リン酸鉄モバイルバッテリー 10000mAh(MB-LS10000)

エアージェイ:リン酸鉄モバイルバッテリー 10000mAh(MB-LS10000)
電池種類リン酸鉄リチウムイオン電池
容量10,000mAh
最大出力USB-C:20W、USB-A(1/2):22.5W 合計最大15W
サイズ約W67.4×D16.5×H149.3mm
重さ約213g
充放電サイクル約1,000回
カラーブラック/ホワイト
価格3,980円(2025.7.24時点)

エアージェイ「リン酸鉄モバイルバッテリー 10000mAh(MB-LS10000)」は、発火リスクの低いリン酸鉄リチウム(LiFePO₄)セルを採用した安全志向モデルです。

正極が安定構造のため高温でも酸素を放出しにくく、電解液の分解・熱暴走が起きづらいのが最大の特徴。

0〜45℃程度の環境でも動作し、約1,000回の充放電に耐える長寿命も魅力です。

保護回路は過充電・過放電・過電流・短絡・温度監視を網羅し、内部温度が上がれば自動制御。

USB-C(PD20W)+USB-A×2を備え、スマホを最適に急速充電しながらも発熱を抑える設計です。

残量表示や3台同時充電など普段使いの便利機能も完備。PSE適合で国内基準もクリア。

本体は約213gとやや重めだが、安全性と放熱性を優先した結果でもあります。

金属異物混入や衝撃による内部短絡にも強く、膨張しにくいセル特性も安心材料です。

非常用の備えとしても安心感の高い“燃えにくい”モバイルバッテリーと言えるでしょう。

グリーンハウス:モバイルバッテリー 10000mAh リン酸鉄(GH-LFMBPA100)

グリーンハウス:モバイルバッテリー 10000mAh リン酸鉄(GH-LFMBPA100)
電池種類リン酸鉄リチウムイオン電池
容量10,000mAh
最大出力USB-C(1/2):20W、USB-A:18W 合計最大15W
サイズW69×D17.5×H140mm
重さ約210g
充放電サイクル約2,000回
カラーベージュ/ブラック/ブルー
価格5,980円(2025.7.24時点)

グリーンハウス「GH-LFMBPA100」は、正極に安定性の高いリン酸鉄(LiFePO₄)セルを採用。

発熱時でも酸素をほとんど放出せず電解液の分解も進みにくいため、一般的なリチウムイオンより熱暴走・発火リスクが低い点が最大の魅力です。

約2,000回の充放電に耐える長寿命で非常用ストックにも好適。

本体は約210gとやや重めですが、安全性・耐久性を優先した結果といえます。

USB-C×2/USB-A×1の3ポートを備え、単ポート時はPD20W急速充電に対応。

残量%表示LCDや過充電・過放電・過電流・短絡・温度保護など多重の安全回路も搭載し、日常使いから災害対策まで“安心優先”で選びたい人に向いた1台です。

HIDISC:準固体電池モバイルバッテリー 10000mAh(HD4-SSMBTC30W10DSBK)

HIDISC:準固体電池モバイルバッテリー 10000mAh(HD4-SSMBTC30W10DSBK)
電池種類準固体リチウムイオン電池
容量10,000mAh
最大出力USB-C:30Wワイヤレス:15W 合計最大20W
サイズW69×D19×H109mm
重さ約220g
充放電サイクル約2,000回
カラーベージュ/ブラック/ブルー
価格

HIDISCの準固体電池モバイルバッテリー10000mAh(HD4-SSMBTC30W10DSBK)は、可燃性電解液をゲル状にした準固体セルを採用し、熱暴走による発火リスクを抑えた“超安全”設計が最大の特徴です。

充放電回数は約2,000回と従来比約4倍で、長期使用や防災備蓄にも向きます。

USB-CはPD30W入出力に対応し、マグネット対応ワイヤレス充電は最大15W、同時利用時は合計20Wに制御されます。

残量%を示すデジタル液晶、収納式スタンド、多重保護回路(短絡・過電流・過熱・過充電/過放電・異物検出)を備え、日常の使い勝手と安全性を両立。

本体重量は約220gと携帯性も十分。

マグネット対応である点も他にはない魅力です。

8月15日発売予定です。

まとめ

  • 発火の正体は“熱暴走”――内部ショートや過充電などで一気に温度が上がり、可燃性の電解液に火が付く流れでした。
  • 私たちができる基本対策はシンプル:「熱と無理をかけない・怪しい物を使わない」。これだけでリスクはグッと低下します。
  • “燃えにくい電池”という選択肢もある:リン酸鉄リチウム、準固体/固体、ナトリウムイオンなど、安全寄りのセルが登場中。多少重かったり高価だったりしても、“安心代”と考えれば納得感は高め。

チェックしておきたい3ポイント

  1. 置き場所・温度管理:充電中は布団やバッグに突っ込まない。車内放置もNG。
  2. 状態チェック:膨らみ・異臭・異常発熱を感じたら即使用停止。
  3. 製品選び:PSEマーク、保護回路の記載、信頼ブランド。そしてできれば“燃えにくい電池”採用モデルを。


モバイルバッテリーは“持ち運べる電力タンク”

便利さと一緒に、ちょっとした注意も持ち運べばOKです。

今日の記事が、あなたの「安心して充電できる毎日」への小さな保険になりますように。

では、良き充電ライフを!